幸せの選択

ブオーンと走り去るタクシーの音を背中に聞きながら、傘をさすほどではなくなった雨の中を、物件に向かって歩く



未だに動揺する心臓を、深呼吸3回で落ち着かせる。
目の前に、雨にぬれた建物が見えてくる。





晴れた日に見た様子と、やっぱり印象が少し違って見える。
入り口前には、大きな水たまりが出来ていた。



水たまりの前まで行くと、濁った水にぼんやりと自分の姿が映る。
ユラユラ揺れる水面が、心の中まで揺らすように思える。