幸せの選択

自分で無意識に思ってしまったとはいえ、課長をもっと知りたいなんて……
なんで、そんなことを思ったんだろう?


もしかして、課長のこと……















「お客さん、着きましたよ」



ハッとして顔を上げると、ニコニコ笑いながら後ろを振り返る運転手さんの顔。





「あっ!すみません。ボーッとしちゃって。ありがとうございます」


「いえいえ、お仕事間に合いそうですか?」



「えっ?」

「急いでたんでしょ?」


「あっ!そうでした。すみません。間に合います。大丈夫です」



慌ててお金を払って車を出ると、さっきまで打ち付けるように降っていた雨は、霧のような雨に変わっていた。