幸せの選択

「慌てて転ぶなよ」という長谷さんの声を背中に聞きながら、外へと飛び出した。




ここから、現場まではタクシーで15分のところだ。

タイミングよく目の前に通りかかったタクシーを止めて乗り込んだ。



行き先を告げ、走り始めた車の窓にポツリポツリと雨が付き始めた。





「降ってきましたね」


「そうですね。すみません、ちょっと急いでもらっていいですか?」


「お仕事ですか?じゃあ、ちょっととばしましょう」




「ありがとうございます」を告げて深々と椅子にもたれる。
外を見ると、打ち付けるような雨が、窓を濡らしている。