幸せの選択

と、私をまたもや驚かせた。


事実、彼はクライアントとの話が終わると、その詳細をメモしていた。

そして、デザインを考え始める時には、図面より先にメモに目を通すことから始めていた。



「仕事のやり方は、どれが正解なんてないけど、僕たちは、その空間を使うのが自分ではなく、クライアントだということを忘れちゃダメだよ」


長谷さんは日に何度もこの言葉を口にする。



このショールームにいる人の殆どが、長谷さんの元で研修をし、コーディネーターとしての『いろは』を教え込まれているため、長谷さんの弟子達はみな『長谷イズム』と呼んでいる。