幸せの選択

こんなに焦った課長を見るのは初めてで、思わずプッと吹き出してしまう。


そんな私をジロリと横目で見ながら、玲衣さんの頬をムギュとつねり上げた。




「もぉ、痛いってば!今笑ったのは私じゃなくて千秋ちゃんでしょ!なんで私よ」


「俺は、女には手を出さない主義なの」

「ずいぶんなフェミニストだこと!」




遠慮のない二人のやり取りが、微笑ましい。

と、同時に私には二人のように憎まれ口をたたきあう相手がいないことが、スゴく残念で悲しくなる。