幸せの選択

そして、ゆっくりと私を包み込んだ。



さっき羽織った上着のおかげでずいぶん暖かくなっていた体が、比じゃないほど急速に暖められていく


フワッと香るシトラスは、私を安心させるには十分な効果があった。





「さあ、行こう。準備はできてる?」


「はい。あそこに」


指さす先のカバンを手にした課長は、ゆっくりを私を立ち上がらせる




「痛くないか?」


「痛いです。でも、早くここを出たいです」



「じゃあ」

そう言って私をヒョイっと抱えあげた。