幸せの選択

懐かしいその香りに、硬く固まった体がゆっくりと解れていく


「課長……」


「三島、ごめん。間に合わなかったな」


掛けられた上着から傷ついた肌が見える。
それから目を反らすように横を向いた課長の顔


ひどく傷ついたような顔



「あの…すみません。こんな……」


慌てて上着の前を閉めた。



「ごめん」

顔を伏せがちに謝る課長に、そっと手を伸ばした。



「課長は謝らないでください。悪いのは私ですから。帰ると言ったのは私です。だから……」



私が課長の腕にそっと触れると、驚いた顔で課長が私に視線を向けた