幸せの選択

さっきの恐怖が全身を駆け巡る。
再び殴られると思った瞬間、私の抵抗する力が全身からなくなった


ギュッと目を瞑る。



抵抗しなくなった私を見て「分かってくれるの?」と、首筋にキスをする弘之。


愛を確かめ合う行為のはずなのに、今の私には苦痛以外に何も感じられない。
そっと体を撫でるその手も、今は早く終わってほしいと願う。



「千秋、俺を感じて?」


耳元で囁かれる弘之の声に、私を気遣う優しさはなかった。