幸せの選択

そうだ、時間がないんだ。


床に散乱する割れたガラスに気を配りながら自分の部屋のクローゼットへ向かう。


中から小さなバッグを取り出し、数着着替えを押し込む。
洗面所へ行き、化粧道具をまとめてビニール袋へ入れ、デスクの引き出しから通帳と印鑑を出す



それぞれまとめた物をバックに詰め込み、ファスナーを閉める。



思いのほか荷物か多くなってしまったため、ファスナーが端っこで引っかかってしまった。


壁の時計を見ると、部屋に戻ってから10分が経とうとしている。



ファスナーを閉めることを諦めて、そのまま持っていこう
端っこが開いたカバンを持ち上げ、玄関へ急ごうと立ち上がった。




「出て行くの?」