幸せの選択

何かのきっかけで再び暴力が始まらないかと、怯えながら、ひたすらジッーっと彼を観察する。


「千秋、体痛むか?」

徐々に冷静になってきた弘之を、無視するわけにもいかず、コクンと頷いてみせる


「ごめんな。今薬買ってくるから待ってて…」

そう叫んで家を飛び出して行った。

バタンとドアがしまる音がして、ピーンと張りつめた神経が一気に緩んだ



だけど、心の中に根付いてしまった恐怖はガタガタと体を震わせている