幸せの選択

腕を掴む手をほどこうとした時

「じゃあ、あの男は誰なの?随分楽しそうだったね」


ズズズと壁際まで追い詰められた。


目の前にある弘之の顔は相変わらず冷たいのに、さっきまでは気づかなかった目の奥にある怒りに、ブルッと震えた。


「黙ってちゃ分からないよ?それとも、言えない仲なの?」


恐怖でブンブンとただ顔を横に振る事しかできない。



ツーっと体をなぞる弘之の冷たい手に思わずギュッと目を瞑った