幸せの選択

「遅かったね、仕事?」

ガチャリと鍵を締める音と共に背後から冷たい弘之の声がした。



「あ、うん。送別会してもらったの。私、今のところ今日までだったから」


「ふーん。あんまり人間関係深くなかったんじゃなかった?」


振り返った私の頬を包み込むように添えられた弘之の手があまりに冷たくて、ギュッと体が縮こまる



「ひ、弘之こそ、今日は早いんだね。最近ずっと遅かったよね?どこで何してたの?」