ぼんやりと車が見えなくなるのを見送ってから、家へと歩き出した。



足を進める度、頬をつたう涙が地面に落ちる。

場所を気にせず涙を流したのはいつ以来だろうか?と冷静な自分もどこかにいる。


純粋に泣ける子どもの頃に戻りたい。そしたら、泣くだけ泣いて、すっきりできるのに…

あの頃なりたかった『大人』が、一番コトを面倒にさせていた。




コツコツと靴は軽快な音を鳴らして、家へとたどり着いた。

鍵をドアに差し込んだ瞬間、この家で私を迎えてくれる人がいないと悟った。