廻る、出会いと別れ

夕方田中さんのご主人があいさつに来てくれた。

「橘さんにはお世話になりました」

ご主人の言葉は続いた。

「本当はここに最初入院した頃妻が死ぬことを覚悟した。けど、一度家に帰って一緒に過ごすことができた。無理だと思っていたからこそ、本当に感謝しています」



田中さんは亡くなったのに、なぜか貰った感謝の言葉。



「橘さんとのリハビリが毎日の楽しみだと言っていました」



嬉しい言葉だった。


田中さんに何かできたのだろうか?そんなことを考えていたから。


出てきそうな涙を必死に堪えた。