目の前にいるこの男はなんなんだ。
しかもあたしは学校の奴らから偏見もちとまで
言われてるのか。初めて知った。
でもそんなの今更言われたところで何とも思わない。
それよりもっとひどい言葉を浴びせられて
生きてきたんだから。
「なあ、このままサボるなら僕もいいか?」
ぼーっとしてたあたしの思考を現実に引き戻したのは
この男子のまたもやわけのわからない言葉だった。
初対面な奴に対してふつう言わないだろ。
だけど、こいつはカバンもっていかにも
今学校来ましたパターンの奴だ。
「バカじゃないの」
面倒だったからそれだけ言ってさっさと階段を下りる。
こんな奴の相手してられるか。
速足で階段を下り、生徒の流れに逆らって
靴箱へ向かう。
「ゆきな」
「!?」
不意に呼ばれた名前に掴まれた腕。
振り向かなくてもわかる。
このうざったい空気、アイツだ。
「僕も一緒にサボる。」
「は?」
有無を言わせないそいつの態度にあたしは首をかしげながら
学校を後にした。もちろんわけのわからない男子もおまけつきで。
