一万回目のプロポーズ

「何?」

私は足を止め振り返った。

「お前の家、遠いだろ?これ、使えよな。」

瞬はそう言った。

「・・・いらないよ。私はもうあんたにはんにも借りないようにしてるから。まぁそりゃすこちは借りたりもしてるけれど。。。」

私はまた足を動かした。

「・・いいから使えよ琴音ッ。」

「イヤ。」

「使え」

「イヤ。」

「使えって言ってるんだけど!」

「私はイヤッて言ってるじゃない!そんなに貸したきゃ愛しの知紗にでも貸せばいいでしょう!?」

私は半分涙目のはず。

(なんで・・・なんでこの人は私を毎回泣かせるようなことをしちゃうの?)

「・・傘を使うのが嫌ならオレの家来いよ。」

「・・・は?」

「~~~~だから、こんなにオレの傘、使うのが嫌ならオレの家来いよ!雨止むまででも少し弱まるまででもいいからさ!」

「・・・行かな・・い」

私は出そうな涙をこらえる。

でもなんで私は泣いているのだろうか。(涙が出そうなのだろうか)

どうして?

キミは――――いつも嬉しいことばかり言ってくれるの?。。。。

――――――――彼女がいるっていうのに・・・。―――――――――

「・・・わかった・・・家に行くよ・・。」

私はやっとの思いで決心した。

◇◆◇◆◇瞬◆◇◆◇◆

今から30分ぐらい前。

キャプテンが笛をならした。

そして笛の合図で全員集まった。

「今日は雨も強まってきたし解散する!」

「はいッ!」

そしてみんなが更衣室に向かう。

でもオレはまだ向かわない。

フェンスの向こうにピンクの傘をさした知紗がいたから。

オレは知紗のもとに駆けつけた。

「知紗、帰ってなかったのかよッこの雨の中ずっと待ってたのか?」

オレは聞いた。

「ううん。待ってたのは私が一緒に帰りたかっただけ。」

知紗は寒さで鼻の先が少し赤くなっている。

「じゃぁ、急いでオレも着替えてくるから待ってろ。」

オレはそう言って更衣室まで走った。

オレは5分で着替え傘をさし知紗のもとに駆けつけた。

そして帰り道。

知紗はオレに言った。

「ねぇ。。。瞬くん・・・」

「ん?」

「最近、琴音と仲良くしてるよね?」

「え・・?あ。。」

「琴音ともう、、仲良くしないでよ・・・」

「は?」

「もう琴音と仲良くないで欲しいの!」

「なんでだよ。。」

「瞬くんは、、、瞬は私のことが嫌い・・・?」

「バッ・・・そんなわけねぇじゃん!好きに決まってるだろ!?」

「だっらら私のお願い、、、聞いてくれるよね?」

オレはなんとなく拳を握った。

そしてオレは何も言えないまま知紗と別れた。

(はぁ・・・知紗の言ってることはわかってるけど・・・。)

オレは考え事をしていると間に傘もささない同中の女子を見つけた。

でもオレはそいつが誰なのか確信した。

一番俺がよく知っている子・・・オレの、、、大切な子、、、オレの好きな。。。子

琴音。。。。

(え。。。。オレ、琴音が好きなのか。。。?)

まぁそんな考え事をしているよりも。。。

オレは琴音のあとを追いかけた。

でも琴音は走る、無我夢中で走ってる琴音がコケた。

そしてオレは琴音の手首を浮かんだ。

「おいッ!」

「イヤッ!離して!離してぇぇぇ!」

そう言って琴音は取り乱す。

「佐藤さん!」

「私は佐藤ですが、あなたの知ってる佐藤とは違います!」

琴音はそう言った。

オレはもう一度名前を呼んだ。

「佐藤さッ。。。琴音ッ!」

オレは『琴音』と呼んだ。