「ねえ、梓!蒼くんだよ!ほらほら!」


HR前の教室で自分の席に座りながらぼーっとしていると、

友達の秋(あき)ちゃんがすごく興奮しながら私の肩を思いっきり揺らしてきた。


がたがたと揺れる視界に「酔う!酔っちゃうよ秋ちゃん!」と悲鳴を上げると、

彼女は「あ、」と小さくつぶやき、でろでろになっている私にごめんね、と苦笑いをした。


「で、なにがあったの?」


何か用があったんでしょ?と聞くと、
秋ちゃんは「蒼くんが歩いてたの!歩いてるだけでもかっこよかったよー…!」と頬を赤くしながら笑った。