それも不思議である。
まるで、亮一郎の抱える秘密を、知っているかのようだった。

(・・・まさか、な。)

一人、鍬をふるいながら首を振る。
しかし、考えれば考えるほど、つじつまが合ってしまった。
亮一郎が預言者で、突然ふらりとここを訪れ、その事実を牧師だけが知っているのだったら。

(リョウイチローが、東洋の預言者とでも?)

よぎった考えに、笑ってしまう。
そんな事はあるはずが無い。
だって彼は、不器用な普通の少年ではないか。