城の中は、しんとしていた。
先日夢で見た、城だろうか。
不気味なほど静まり返った豪奢な城は、異様な臭いがした。

嗅いだ事は、ある。
鉄の匂いだ。

(こないだと同じような夢なら・・・まさかな。)

先日見た夢では、美しい女性が、バスタブにたっぷりと注がれた血の中で、優雅に微笑んでいた。
もう、あの場面は夢であろうと見たくない。

夢の中で臭いがあるというのも、なんだかおかしな話だ。
だが、何故かすんなり受け入れてしまう。