早朝。

牧師から蒸したタオルを貰った亮一郎は、それで体をふかせてもらった。
日本のように入浴する習慣は無いし、ましてや蛇口をひねるだけでは、お湯は出ない。
風呂に浸かってゆっくりしたいところではあるが、タオルで体がふけただけでもありがたかった。

『さあ、これを着ると良い。君の服は、目立ち過ぎる。』

変わらずラテン語で話しかけてもらえるので、助かる。昨晩必死で覚えようとしたマジャール語は、まだ完全ではない。