エメシェはパン屋での仕事を終え、足早に教会へ向かっていた。

あの東洋風の異国人が、気になったからだ。
彼はエメシェとレヴェンテが見つけなかったら、死んでいたかもしれない。
神は彼に、微笑んだのだろう。
どんな経緯であの教会前で倒れていたのかは分からないが、とにかく彼の安否が気になって仕方がない。

パン屋の仕事は朝が早い分、日が暮れる前に帰れる。
それに、余れば少しだけ、パンを分けてもらえた。
食べざかりの弟と2人の苦しい家計には、非常に助かっている。