とにかく現状を知らねばと、亮一郎は牧師に色々聞いた。

このチェイテ村近隣を納めるのは、チェイテ城に住む“バートリ・エルジェーベト”という、女城主。
トランシルヴァニア公国の名家から、ハンガリー貴族であった“ナーダシュディ・フェレンツ2世”の元に、嫁いできた。
エルジェーベトは教養深く、戦争で留守がちな夫の代わりに、領地を治めていたという。

しかし、1604年。
フェレンツ2世が死に、エルジェーベトが名実ともにナーダシュディ家を相続した時。
ある不可思議な行動が目につくようになる。
召使いを増員すると言って、このあたりの村々から、若い女性ばかり城へ連れて行ったのだ。