城の中を、亮一郎は歩いていた。
どこの城かは分からないが、中世ヨーロッパの豪華絢爛さを持った城。

もう、腹も減っていない。

「俺、死んだのか・・・」

親にも会えず、誰も知る人のいない、こんな場所で。
夢でじいちゃんが“死ぬなよ”と言い残したのを、思い出す。

「死んじまった・・・ごめん。」

謝っても、誰も返事は返ってこない。
亮一郎は吸いこまれるように、ある部屋の扉を開けた。