「こいつ、まだ生きてるよ。」

汚い身なりと、靴を履いていないことから、どこかから逃げてきた行き倒れかと思ったが、まだ生きている。
犯罪者には見えないし、レヴェンテと同じぐらいの歳だろうか。

「・・・神の思し召しかもしれないわ。中へ運びましょう。」

熱心なキリスト教信者の2人は、害のなさそうな異国人を、教会の中へと運びいれた。

「やぁ、おはようエメシェ、レヴェンテ。」
「おはようございます、牧師様。あの・・・」
「その方は?」
「そこの石段の上に、倒れていたのです。」
「そうか・・・とにかく、温めてさしあげよう。」

牧師は驚いた顔をしたものの、暖かい部屋で異国人の手当てをしてくれた。