教会の前には、一人の黒髪の若者。
見た事の無い服装で、横たわっている。

異国人のようだ。
誰もが汚いものを見るような眼で、その異国人を通り過ぎていく。

「姉さん!」

弟のレヴェンテが、少し遅れながらも、教会へやってきた。
「レヴェンテ・・・」
「なんだこいつ。」
好奇心旺盛な15歳の弟は、倒れている異国人に近付いて声をかける。
おい、と揺すっても、異国人は起きない。

揺すった感じで武器は持っていないようだし、完全に意識がなさそうだったが、氷のように冷たい体は、まだ脈打っていた。