そこには声だけでなく、表情まで真剣そのものの亮一郎がたたずんでいる。


「どうしたんだ?ここで、いいのか?」

「・・・いや、出来れば部屋が良い。」

「じゃあ、俺の部屋に行こう。」


暖炉たきっぱなしにしてきたからあったかいんだと、セードルフは努めて笑う。

どうみても、亮一郎の表情は、今から楽しい事を話しますという様子では無い。
肩に力が入っているし、表情も真剣過ぎて硬い。
自分が少しでもリラックスさせてやらなければ、疲れてしまうだろう。

「ありがとう。」

普通に話せるようになったマジャール語は、亮一郎の努力を感じさせた。