よろずや。



そして、午後8時45分…

私は屋上に向かった。

屋上は、普段立ち入り禁止で、柵がかかっている。


私はその柵を乗り越え、屋上へと忍びこむ。
すると…


「オッ。早いな、リサ。」
「…リクこそ。」
「そりゃ、俺から誘ったのに、言いだしっぺが遅刻ってサイテーじゃん?」
「う、まぁ。」
「ま、そこ座っとけよ。」



そう言って、リクは暖かそうな毛布を敷いたところを指差した。

「ついでに、これかぶっとけ。」
「なに?…キャッ」

リクは、今まで被っていた毛布を私に投げた。

―――暖かい。

その毛布をかぶりながら、私は強いてあった毛布の上に腰を下ろす。
そして、何か作業をしているリクのがっちりした背中を見ながら思った。

―――リク…行って欲しくないよ…


そう思っていると、リクが振りかえる。

「よし、準備おっけー…ッて、なに泣いてんだよ、リサ!!」

「へ??」

気がつくと、綿のの瞳からは、冷たい涙がこぼれていた。

「荒れ、何で泣いてんだろう…わたし…」

その先は言葉にならなかった。

「リサ、なんだよ、そんなに俺に行って欲しく無いのかぁ~」

ふざけた口調で、リクが言う。

「…そうだよ!!だって、私、リクが好きだもん!!ずっとずっと、好きだったんだもん!!それなのに、リク、寮に入るって聞いて…。でもそれは、リクが大事な夢を叶えるためだからって、泣かないように、ただ笑顔で送ってあげようとして…」

そこまで一気に言うと、リクが私を抱きしめた。

「ありがと、リサ。ッつか、予定外。俺より先に言うなよぉ…」

「は?何が??」

そこで、リクは私を解放する。
そして、優しい笑顔を私に向けた後、空を見上げる。

「見てみろよ。」

そう言われて私は、空を見上げる。
すると…

「わぁ…。流星群??」
「そ。今日は流星群の日だったんだ。リサ、こうゆーの、好きだろ?」

知っててくれたんだ…

それだけで、もう満足だよ…


「昔々、あるところに、小さな女の子と男の子がいました―――…」


突然、リクが昔話を始めた…