よろずや。


私の楽しみ。

それは、放課後、近くの図書館に寄り道をすること。

その図書館は、いつも開店休業みたいに人が居なくて、閑散としている。

ただ、それには色々と理由がある。

その図書館は、自営図書館らしく、管理者が一人しかいない。

だからだろうか。

どこにも宣伝広告の一つも見あたらない。

それを偶然私は見つけてしまった。

それからと言うもの、私はその図書館に通い詰めていた。



「こんにちはー。」

「あっ、ひなちゃん。こんにちはー。」

「あ、せんせー。今日はトリップしてない!?珍しい・・・」

「そんな!!僕がずっとトリップしてると思うのかい!?心外だ!!」


そんなたわいない会話をしている相手こそ、この名もない図書館の管理人権館長の、荻窪 鼓唄さんだ。

鼓唄さんは、年齢不詳。
ただ、鼓唄さんと呼ばれたくないらしく、みんなからは先生と呼ばれている。
私の、相談相手件、喧嘩相手。


「さて、今日はどんな本読もうかなー」
「あっ、ひなちゃん。」
「な・何ですか?」
「今日も、来てくれて、ありがとうございます。」
「いえいえ。ここは暖かいですから。」
「??ここは、暖房器具なんか入ってないですよ?」
「ハハハ。」

そういうことじゃない。

こんなに、先生にだいじにされている本たちに、囲まれると、暖かい…。

そうかんじるのは、私だけかも知れない。
それでも…

「それでも、暖かいですよ。」


そして私は、ほんの世界に没頭し始める。


「…よくわかりませんが、ごゆっくり…。」






ここは、誰も知らない、私のしあわせの場所。