さっきの彼...奥原君に買ってもらったおでんを持って自宅に帰る。
奥原君...高校生には見えなかったなぁ...
落ち着いてるというか...大人っぽいというか...
ふと奥原君の真っ直ぐな視線を思い出した。
“...俺にまた逢いたい...とか?”
“...俺、奥原ケイ。明日、19時にここで待ってるから...”
触れられた左の頬がジンジンと熱くなるのがわかる。
別に奥原君にドキドキしている訳じゃない。
どちらかというと怒りに近い。
今時の高校生はあんなふうに女の子に接するんだろうか...?
私は高校生じゃない。
奥原君よりもだいぶ年上なのにあんなふうに...頬を触ってくるなんて...
きっと年上の女をなめてるんだ。
あれだけの容姿だし、自分に自信があるに違いない。
あの年頃は年上に興味があるっていうし。
...って高校生にお金借りてる私は一体...
とにかく。明日は今日のおでん代を返してしまえばいいだけの話。
私はとくにそれ以上を考える事もなく、少し冷めてしまったおでんを食べた。

