はぁっ・・・はぁっ・・・
ヤバイ・・・息切れする・・・
足も痛いし。
駅に着いて辺りをキョロキョロ見渡した。
・・・いた!!
コンビニの前で壁にもたれてる奥原くんを見つけ、駆け寄る。
「ご、ごめん!遅くなったっ!」
「遅いよ。何してたの??」
「…ごめん!急に彼が家に来て…」
「…え?」
「…それで遅くなっちゃったの。ごめっ ……きゃっっ 」
・・・え?
急に腕を引かれたと思ったら・・・
私の身体はすっぽり奥原くんの腕の中で・・・
つまり・・・抱きしめられてる・・・?
「お、奥原くん?」
「…ズルいよ、和歌さん。」
「…へ?」
「…和歌さんはズルい。なんで?なんで来たの?彼氏来たなら、俺に会いにこなきゃいいじゃん。」
「…そう…かもね。でも…なぜかわからないけど…奥原くんが気になって」
「…バカじゃないの?和歌さん、結婚するんでしょ?」
「……」
私が黙っていると、奥原くんは抱きしめる力を強めた。
「…ごめん。変な事言った。」
「ううん…いいの。」
確かにそうだ。私はアツと結婚するっていうのに…何やってるんだろう。
ただ・・・ここに向かう事しか考えてなかった・・・
奥原くんに会いにいく事しか考えてなかった・・・
「…ね、和歌さん。何も言わなくていいから…今から俺が話す事…聞き流してくれていいから…ちょっとだけ言わせて」
「…ん?」
抱きしめられながら、少し顔をあげて奥原くんの顔を見つめた。
奥原くんも私を見つめて・・・
「…俺の好きな人…俺が好きな人…和歌さんなんだ」

