「和歌さん、何時まで大丈夫?」
「う〜ん、17時くらいには帰ろうかなぁ。」
「あと4時間ちょいか…ちょっと行きたい所あるから付き合ってくれる?」
「えっ?あ、うん、いいけど…どこ?」
「いいから。来て」
そう言うと奥原くんは私の腕を掴んで、駅に向かった。
電車に乗って1時間・・・。
着いた先は、臨海公園。
ショッピングモールも隣接されていて、家族やカップルで賑わっている。
その海が見える公園のベンチに私たちは座った。
「どうして、ここ?」
「なんとなく海が見たかったから…海嫌い?」
「嫌いじゃないよ?」
「あ…陽射し強い?日焼けしたらごめん」
「大丈夫。日焼けどめは年中たっぷりぬってるから。」
「そっか。なら良かった」
真っ直ぐ、青い海を見ていたら、なんだか最近の疲れがとんでいくようだ・・・
「…大っきいな…」
「もしかして、海が?」
「へっ?そうだけど…」
「ハハッ。まんまじゃん」
「ま、まんまで悪かったわね!」
私はプイと横を向いた。
「スネないスネない。まんまだけど、その通りだよ。海は大っきい。見てるだけで癒される」
「フフっ、癒されるって、奥原くんホントに高校生?」
「そうだけど?てか、早く大人になりたい…」
「なんで?私は高校生が羨ましいけど?」
「学生じゃなくて、社会人の大人だったら…」
「だったら?」
「…直ぐに好きな女に気持ち伝えるのに…今気持ち伝えても高校生だからってあしらわれるだけだろうし」
「…そっか。奥原くんの好きな人って歳上なんだ?」
「…まぁ。」
「…難しいね。恋愛って」
「うん…ね、ちょっとの間だけ…肩かして。嫌なら…跳ね除けていいから」
そう言うと奥原くんは私の肩に頭をもたれさせた。
フワッとシトラスの香りがする。
嫌だったら跳ね除けたらいい・・・
でもそんな気すらない私はそっと奥原くんの髪を撫でた。
奥原くん・・・
私は君がわからない。

