私たちは駅から少し離れた小さいカフェに入った。
窓際の小さいテーブルに向かい合わせに座って、ふたりともランチを注文。
「……」
「……」
特に会話もなく気まずい・・・
ランチが運ばれて来るまで、とりあえず窓の外をぼーっと眺めてよっと。
・・・と思ったけど。さっきから・・・視線を感じる。
チラっと奥原くんを見ると、片肘ついてジッとこっちを見ていた。
「…なに?」
「別に?和歌さんって鈍感な訳じゃなさそうだね」
「どういう事?」
「ん?だって、俺がジッと見てたの気付いたじゃん」
「…さっきから…私をバカにしてる?」
「してないよ。ただ、和歌さん見てたら飽きないし、ちょっと意地悪したくなるだけ」
「あのねぇ。奥原くん、私よりも5つも下なんだよ?もっと歳上を敬いなさいっ」
「…関係ない。男と女の間に歳なんて関係ない…ってよく言うじゃん」
「っちょっ?な、な、何言って…」
「和歌さん、動揺しすぎ。世間一般の話しただけ。そういえば、彼氏はいくつ?」
「へ?彼氏?私と同じ歳だよ」
「へぇ。いつから付き合ってんの?」
「高校三年から…」
「5年か…長いね。だからそろそろ結婚しようかなって?」
「べ、別に期間が長いからって結婚する訳じゃないよ。逆に結婚しない理由がないだけ…ほとんど一緒にいるし…」
「…いつするの?結婚」
「ちゃんとした日にちは決まってないの。明日、彼と一緒に私の親に挨拶に行って…って段階だし。来週いきなり籍だけ入れちゃうかもしれないし、どうなるかわかんない」
「そっか。ね、和歌さんは彼氏の事好き?」
「な?!なに?!やめてよっ!そういうの恥ずかしいんだから…」
「いいじゃん、別に。ね、好き?」
「…そ、そりゃ、もちろん好き…だよ。じゃないと結婚したいとか思わないでしょ。私の事より、奥原くんは?例の好きな人とはどうなの??うまくいきそう?」
「…微妙…。どうなるかわかんない。」
「その人の事はいつから好きなの?」
「俺が中1の時からだから…5年かなぁ。」
「えぇっ?5年も片思いしてるの?!気持ち伝えなよっ?!」
「伝えれるもんだったら伝えてるよ。」
そう言った奥原くんが妙に切なそうで・・・
でも、なんだかその人への気持ちがよく伝ってくる・・・
「その人の事…好きなんだね」
「好きだよ。ものすごく。」
真剣な顔で言う奥原くんに・・・
私はドキドキした。
まるで私に言われているような錯覚・・・
本当に好きなんだね、その人が・・・

