純ちゃんと会社を出て、駅まで歩く。

ホントは飲みながら純ちゃんの恋話聞くつもりだったんだけど、我慢出来ずに歩きながら色々聞いた。



「いつのまにかいい感じになってたんだね〜告白したりされたりはないの?」




「う〜ん…つい‘好き’って言っちゃいそうにはなるけど…言えないかな。自信ないし。」



「話聞く限りではうまくいきそうな気がするけどなぁ…」




「もう少し…今の関係でいいや!頑張ってる私が何気に好きだし♪って、そういえば例の高校生はどうなったの?」




「…え?あ…あぁ。い、いたね、そんなコ。何もないよ。あるわけないじゃん」



ドキッとして、思わず隠してしまった。

まさか家にお邪魔してしまったとか、連絡先交換したとか言えない。




「な〜んだ、つまんないの。一度見てみたかったなぁ、そのコ。」



ハハハっと誤魔化して、ホッとした時。




「うわぁっ!みてみて和歌!あの高校生、むちゃくちゃカッコいい!やっぱ、最近の高校生は違うね〜」




そう言う純ちゃんの視線の先・・・




「…あ…」




離れててもわかる。



奥原くん・・・と女の子。





「あれ、彼女かなぁ。やるねぇっ!いいなぁ!高校生っ!私も高校生に戻りたぁい!ね、和歌!」





彼女・・・?


いや、彼女はいないって言ってた。


じゃぁ、前に言ってた好きなコ・・・かな。




小柄で可愛い女の子。


身振り手振りで奥原くんに一生懸命何かを話してる。


そんな彼女を見る奥原くんはとても優しい表情で・・・




いい雰囲気じゃない。

付き合うのも時間の問題じゃない?








・・・なんて思ってたら、バチっと奥原くんと視線が合ってしまった。




ど、どうしよう・・・



奥原くんはその彼女に何やら話したのか、彼女も私の方を見て・・・


そのまま私の方へ歩いて来た。





「ちょっ?和歌…あのイケメン高校生…こっち来てない?」




「…うん」





なに?なんでこっちに来るの?

‘彼女になりました’とか報告するつもり?





「こんばんは。和歌さん。仕事帰り?」




「わ、和歌?知り合い?」


純ちゃんは私の袖をツンツン引っ張りながら聞いてきた。








「…例の高校生のコ」




私はそう答えた。