ここ最近、私もアツも仕事が忙しくてなかなか会えずにいた。
近くに住んでいるから、仕事終わりにどちらかの家に寄って泊まってしまえばいいんだけど、二人とも仕事を家に持ち帰ってこなさなくてはならない程で。
会えるのは日曜日のみの状態。
そんな状態だから、寝る前の数分の電話がとても楽しみだった。
「もしもし、アツ!お疲れ様〜」
「おう!お疲れぃ。今日もクタクタだぁ。やっと今から晩飯だし」
「私もさっき軽く食べたとこ。いつまでこの忙しさ続くんだか…」
「もう俺限界かも…明日も朝からめちゃくちゃ忙しいし。早く日曜にならないかなぁ。和歌不足…和歌に会いたくて仕方ない」
「私も。アツに会いたい…はぁ。そろそろアツん家に引っ越そうかなぁ。そしたら忙しくても毎日アツの顔見れるし…」
「マジ?!来い来いっ!いつ?!明日?!」
「フフッ。明日にでも引っ越したいよ、ホント。式の事も決めていきたいし…」
「…その前にちゃんと和歌のご両親に挨拶いかないとなぁ」
「アツのご両親にもね!お互いの親はまだかまだかって言ってるくらいだし、早くに行きたいね〜」
「とりあえず、次の日曜あたり和歌のご両親に挨拶しにいこうか。」
「りょ〜かい!伝えておくね!」
「わりぃ、和歌、俺ホント限界〜。飯食わずに寝るわ…」
「大丈夫?ゆっくり寝なきゃいけないけど、ちゃんと食べてね??じゃぁ、また明日ね!おやすみなさい」
「おぅ。ありがとう。また連絡する!おやすみ!」
アツの声を聞くとますます会いたくなる。
近々・・・ここの部屋解約してこようかな。
アツの家に引っ越したいし。
早く日曜日にならないかなぁ。
ふと携帯に目をやると、メール受信。
アツかな?メールを確認するとアツではなくて・・・奥原くんからだった。
‘こんばんは。和歌さん起きてる?今電話できる?’
もう日付が変わった時間。
急にどうしたんだろう。
‘こんばんは。どうしたの?’ととりあえず返信。するとすぐにまたメールが来た。
‘特に用事はないんだけど。なんとなく’
‘ごめんね、最近仕事忙しくてもう寝る所なの’
‘そっか。なんかごめん。おやすみ’
どうしたんだろう。
奥原くんからこんなメールが来たのは初めてだ。
‘何かあった?’
気にしなくてもいいのに、そう返信してしまう。
‘なにもないよ。ただ話がしたかっただけ’
‘何か悩みでも…’と文章を作りかけたけど、消去してそのままメール会話を終わらせた。