私は君に恋をしました




翌朝。


今日こそは昨日伺え無かったお客様の元へ・・・と思い、早めに出勤。



なんだかいつもより人が多いなぁ・・・と感じながら、ホームのベンチに座って電車を待ちながら、仕事の資料に目を通していると、

『只今、人身事故により電車が遅れています』・・・とのアナウンス。


ホームの電光掲示板に目をやると、どうやら1時間程遅れているらしい。


早くに家を出たのにこれじゃいつも通りだ。
会社に行ってからお客様の元へ向かうとなるとだいぶ時間をロスするし・・・
直行しようかな・・・



資料をバッグにしまって、立ち上がろうとした時、



「おはよ、和歌さん」



目の前に制服を着た奥原くんが立っていた。



「あ…奥原くん。おはよう。もう体調はいいの?」



「まぁ。良くはないけど、悪くもないかな。…って、人身事故で遅れてるんじゃないの?電車。」



「そうみたい。だから今からタクシーでお客様の所へ行こうかと思って…って、奥原くんは逆のホームじゃない?」



「へぇ。よく知ってるね。俺が逆方向って。俺が気になってた…とか?」



「ち、違うよ。この間たまたま見掛けただけ…。じゃ、私はもう行くから…」



「…タクシーも無理じゃない?タクシー乗り場、人凄かったよ。このまま電車待ってる方が賢いかもね。」



「えっ?ホント?!タクシー乗り場もいっぱいだったの?」



「うん。次の電車待った方がいいよ」



「でも…


『6時発着○○行きの列車があと10分程で到着致します』



タイミング良くアナウンスが流れる。



「ほらね?ね、隣りいい?」



にっこり笑った奥原くんはそのまま私の隣りに座った。