携帯を取り出して、奥原くんに連絡先を教えた。
「...じゃぁ、私行くから。ちゃんと寝てなさいよ?じゃぁ」
玄関のドアを開けて、チラっと奥原くんを見る。
「...うん。今日はアリガト...和歌さん」
エレベーターを降り、マンションを後にする。
なんだろう・・・この感じ。
なにか変にドキドキするっていうか・・・
ときめくドキドキ・・・ではないのは確か。
でも、なぜか・・・なぜか・・・奥原くんの切なげな顔が頭に浮かんでしまう。
さっき奥原くんと擦れ違った横断歩道で信号待ち。
あ・・・本屋行かなきゃ。
時間を確認しようとポケットから携帯を取り出して、メールが2通届いているのに気付く。
“お疲れ!いいランチ食ってるなぁ♪今日楽しみにしてるわ!!”
・・・とアツから。
そしてもう一通は・・・
“和歌さん、今日はありがとう。”
・・・と奥原くん。
私は頭をブンブンと横に振って、本屋に入った。

