私は君に恋をしました





「お邪魔しま...す」




ボソッとそう呟いて中に入る。




「どーぞ。そこ座って。コーヒー出すから」なんてこっちの気も知らないで普通に言う奥原くんにちょっとイラっとした。




リビングに通されて、言われた通りにソフアーに座った。



ダメだと思いながらも、キョロキョロとまわりを見てしまう。



カントリー調の家具や雑貨があって、壁にはパッチワークの作品が飾られている。



あぁ。そっか。奥原くんはまだ高校生だった・・・






「ねぇ、奥原くん、ご家族の方は?」




カウンターキッチンの向こう側に居る奥原くんに話しかけるとひょこっと顔を出した。




「あぁ。両親と...姉さんがいるけど...今はみんな仕事行ってる。」





「そ、そっか。ダメじゃない?お留守の時に...勝手にあたしお邪魔して...」




遠まわしに帰ろうかなアピールしてみたけど・・・





「いいよ別に。夜にならないと帰ってこないから...」




奥原くんはそう言ってコーヒーカップをテーブルに置いた。





「どーぞ。俺、ちょっと着替えてくるから適当にテレビでも観てて。リモコンその辺にあるから」




「...うん。」




その辺にあるって言われ、ふとチェストの上を見た。



チェストの上には家族写真が可愛いフレームに入ってたくさん並べられていた。



へぇ~。これが御両親とお姉さんかぁ。



今よりだいぶ幼い、中学生くらいの奥原くんの周りに、奥原くんに雰囲気がそっくりなお父さん・・・ふんわりした可愛らしいお母さん。



そしてとても綺麗で凛とした雰囲気のお姉さん。






あれ・・・?



でも家族写真はこの一枚だけ・・・?



他のフレームにはお姉さんの写真ばかりで奥原くんの写真はさっきの家族写真だけ・・・



なんでだろう・・・?




・・・ってまぁ、きっとお年頃で恥ずかしいだけかな。







私は特に気にもせず、またそのままソファーに座る。