私は君に恋をしました





私のその声に奥原くんも振り返る。




「なにやってんのよ...風邪ひくでしょ?傘は?」




「あ...和歌さん」




点滅する信号に気付いて、私は自分の傘に奥原くんを入れて奥原くんの腕を引っ張りながらまたカフェの前に戻っていた。





「...どうして和歌さんが?」




「仕事で用事があったの...ってか、なにやってるのよ...」




「傘忘れたから...」




私はバッグからハンドタオルを取り出して、奥原くんに渡した。





「コンビニで買うとかしたらいいじゃない...」




「あ...家近いから別にいっかなって思って...」




「だからってこんなに濡れて...あ...ちょっと電話鳴ってるから待って...






私はポケットから携帯を取り出して電話に出た。





「はい...あ、お世話になります!はい、...あ...そうですか。わかりました。はい...はい...では後日日を改めます...はい、宜しくお願い致します。はい...失礼します...」




電話の主は次に向かうはずのお客さんで・・・今日は担当者が不在だという事でキャンセルになった。





「...仕事?」




「...だったんだけど、キャンセルになちゃったわ...」




「そっか...」




「ってか、奥原くんはこんな時間になんでいるの?学校は??」




「あぁ...なんか体調不良ってヤツ。」




「えぇ?熱?」




そう言って、頭を触ると髪の冷たさの下からじんわりと熱さを感じた。




「ちょっと?!熱高いんじゃないの?!こんな身体で雨に打たれて余計熱出ちゃうじゃない!」




「...かもね」




「かもね...じゃなくって...あ。ほら傘貸してあげるから急いで家に帰りなさい!」




「俺が借りたら和歌さんが今度濡れちゃうじゃん...」




「私はいいよ。後で買うから...ほら、はい、使って?」




私が傘を手渡そうとすると、ガッとその手を取られる。




「...じゃぁ、俺の家まで一緒に行って?」