私は君に恋をしました





カフェを出ると、純ちゃんが言ってたように雨がぽつぽつと降り出していた。



まだ次のお客さんのところに行くには早いし、時間つぶしの為に駅前の本屋に向かった。



さっきよりも雨粒が大きくなって、傘をさして横断歩道で信号待ち。



どんよりした空を眺めて、ふと横断歩道の先に視線を向けた。






「...あ...あれって...」






横断歩道の先に傘もささずに同じく信号待ちをしている人を見つけ、驚いた。




奥原くん...?



まわりの人と頭一個分違う、遠目で見ても不思議な雰囲気を出している・・・のは、


やっぱり奥原くんだ。




奥原くんは雨を避けるわけでもなく、視線を足元に落として、ただただずぶ濡れになって立っていた。






信号が青に変わり、奥原くんはゆっくりと歩き出す。



私も、傘で顔を隠して視線を伏せながら少し足早に歩き出す。



横断歩道の真ん中らへんで、チラっと傘越しに奥原くんを見やると、奥原くんはあたしに気付
いていないようでさっきと同じように視線を足元にやったままだった。




髪も制服も雨に濡れているのにも関わらず、そんなことは気にもしていないようで・・・




私に気付いていないみたいだし・・・別に話しかける事もないか・・・



私はそのまま奥原くんと擦れ違う。






・・・だけど。







「お、奥原くんっ!!」