アツと駅前の洋食屋に入った。
この店ではメニューを見ることなくいつもオムライスを注文するんだけど・・・
さっきの奥原くんの切なげな目が頭から離れず・・・
「...和歌?オムライスじゃねぇの?」
アツの声でハッと我に返った。
「え...あぁ。どうしよっかなぁ...たまには違うものにしよっかなぁ...」
「珍しいじゃん?俺はいつものにするけど~っつかさ、さっきの...奥原って子。」
「...え?」
ドキっとした。
アツの口から“奥原”って名前が出た事に。
「アイツ、高校生...だよな?」
「そうなんじゃない?制服着てたし...」
「なんか、めちゃくちゃ落ち着いてなかった?すっげぇ、雰囲気あるっていうか...高校生には見えないよなぁ~」
「う、うん。そうだね...高校生には見えないよね」
「ありゃぁ、かなりモテてるぞ。うん。」
「そんな感じだよね...あ。でも、アツが高校生の時もモテてたじゃん?」
「あぁ。確かに~。でも、俺はずっと和歌しか見てなかったけど?っつか、何注文すんだ?」
「え?あぁ...やっぱりいつものにする!」
「ほらな?和歌はやっぱり冒険できないんだよ。はじめからオムライス注文しとけって。」
「...ハハハ。だね。」
それから奥原くんの事は頭の片隅にもなくなっていった。