「和歌?どうした?用事って...」



私の傍に来たアツが奥原くんをチラっと見ながら私に話しかける。




「あ...ゴメン、アツ。実は昨日、会社に財布忘れちゃって。コンビニでこの子に立て替えてもらったの。それで、そのお金を今日返す事になってて...」




「なんだそれ~どんくせぇなぁ。ってか、君、悪かったね...ありがとう」




「...別に。」




なんだか、とっても居心地が悪い・・・



早くこの場を立ち去りたい・・・





「じゃぁ、そういうことで。ありがとう奥原くん!ほら、アツ、ご飯食べに行くよ?なに食べよっかなぁ~」




「お、おぅ...じゃぁ」





私はアツの腕をガンガン引っ張って奥原くんから離れた。





少し離れて・・・奥原くんの方をなんとなく見る・・・



もういないだろう・・って思っていたからその姿を見つけた瞬間はさすがにドキっとした。



帰宅ラッシュの人だかりの中でも頭1個分抜けてる奥原君は・・・




真っ直ぐ私を見つめていた。