ガチャ
そこはあたしが落ち込んだり悩んだりすると決まってくる場所…
今日は風が強い。
空は真っ青、雲ひとつない
あたしの醜い感情とは正反対の澄みわたる青空
ここは屋上
もう1限目の授業は始まっているだろう
「はぁ…」
あたしの口からはため息ばかりが漏れてくる
尚に嫌われてるのは分かるけどあんな風に意地悪されたらあたしだって傷つくよ
辛いよ、尚に女の子に見られないことが
こんなに辛いなら好きをやめれたらいいのに…
でも…
…だって顔見たら胸がくるしくなるんだもん。
キューって締め付けられる
息の仕方を忘れちゃったみたいに。
「そんなに悲しい顔されると困るんだけど」
急に後ろから声が聞こえた
屋上のはじっこがあたしの指定席だったから扉が開く音に気づかなかった
「直、どうした?」
あたしは尚を睨む
「…尚には関係ない」
心配したりしないで。
誤解しちゃうから。
そんなに呼吸を乱さないで。
授業をほったらかしてまで走ってあたしを探してくれたって思ってしまう…
それでまたあたしのバカな心臓が暴れはじめてしまう。
「関係なくなんてないだろ。怒ってんのか?さっき、騙したから」
「…。」
「…直?」
だって、あたしばっか。
好きで好きで好きで好きで…
意味わかんない。
あたしの前では王子様スマイルなんてしてくれたことないじゃん。
笑顔で大丈夫?なんて言って荷物を拾ってくれたこともない。
尚があたしに構うのはいつもからかうときだけ。
あたしの反応を楽しんで笑ってバカにして…
もう嫌。
いくらあたしがバカで女の子らしくなくても女の子なんだよ?
…好きな男の子にそんなことされたらイヤだよ。
友達じゃない。
友達なんかじゃない、
あたしは、単純だから尚が少しでもいつもと違うとあれ?って思っちゃうんだよ?
あたしはもう一度尚を睨む
「尚には関係ない、ほっといて」
「…。」
黙る尚
「もう教室戻りなよ、あたしのことはいいから」
「…くなんかねぇだろ」
「え?」
「関係なくなんかねぇだろ」
尚が…怒ってる
「騙したのは悪かったけど、なんか他のことがあんじゃねぇの?」
尚は勘が鋭い
いつもあたしの考えはお見通し
だから…この気持ちは尚にばれないように自分の中でもうまく抑えてるつもり。
「…だからなんでも…ないってば…」
けれど素直になれないあたしはいつもこうやって尚から逃げる
近づきたいと思うのにいざ近づかれると逃げる
ほんとあたしってイヤな奴だとつくづく思う。
「本当に尚には関係ないってば…」
ヤバイ、泣きそう
あたしは急いで俯く
だって尚に泣きそうなのがバレてしまう
グイッ
「きゃっ!」
急に腕を引っ張られた
トンっ
目の前には男の子の