「山崎謝れよ。」


高田がわたしの髪の毛を鷲掴みにして怒鳴った。

悔しくて涙が出そうだった。


「もういいよ…。」


横から静かに小鹿が言った。潤んだ瞳で少し笑って高田を宥めた。


「なに甘いこと言ってんだよ。」


高田は小鹿にそう言うと、小鹿はまた笑った。


「いいの。高田、ありがとうね。」


小鹿のこの一言でクラスメイトたちはざわついた。


「小鹿ってホント優しいよな。」


「顔だけじゃなく性格もいいんだよね。」


みんなは小鹿を誉めあった。一方わたしには冷ややかな視線が向けられた。