わたしは歌った。 練習を怠けてなんかいない。他人任せなんかにもしていない。 だから屈辱的だけどわたしは歌ったのだ。 誰も聞いてなんかいないくせに。恥をかかせたいだけのくせに。 「クズ。ゴミ。コンクール当日はお前休めよ。 休めっていうか、死ねよ。」 笹島は顔を近付けてそう言ってきた。 わたしは自分の鞄を取り教室を出た。ドアを勢いよく閉めた。