「マジ勘弁してよー。」 伊藤は苦笑いをした。 勘弁してほしいのはこっちのほうだ。 わたしは視線を感じその方向に目を向けると、花田と小鹿が見下すように笑った。 噂を流したのはおそらくあの二人だろうと予想した。 わたしは言い返す気もなかった。 一瞬わたしは彼を見た。彼は笑っていたのだ。 わたしがひそかに想いを寄せていた、久保田という野球部のおとなしい男子だった。