「その曲!知ってるんですかっ!?」 突然バン!と扉を開けて誰かが飛び込んできた。 気を抜いていた俺はほんっとに驚いて、椅子から転げ落ちそうになってしまった。 「…誰?」 白いポロシャツに、真っ黒でまっすぐなボブカットの髪が肩の上で揺れていて、 黒縁のメガネをかけた色白の身長低めの女。 一息でそのコを説明するならそんな感じ。 俺のすぐ横まで近づいてくる。 俺の質問には答えずにもう一度問いかけられた。 「知ってるんですか、それ」 真っ直ぐ向けられたメガネの奥の目は綺麗な薄茶色をしていた。