決意を決めて立ち上がり、ドアノブに触れる。 どうすりゃ良いかわかんないけど、その時はその時。臨機応変に行こう。 ゆっくりと音をたてないように重みのあるドアを開く。 ギシ、と金具の鳴る音がした。 「……あ」 目の前に広がるのは黒く光るグランドピアノと、その先にはためくカーテンの奥の青空だった。 「…誰も、いない」 いつの間にか止めていた息をゆっくりと吐き出す。