「…これ、もってけよ」 眩しい日差しが照りつける中、いつもの場所に自分たちはいた。 蝉の声がやけにウルサい。 差し出された手はどこか震えていて、その理由を悟った自分は何も言えずそれを見つめていた。 「だってこれ、シュンのでしょ?」 「良いんだよ、どうせ弟のもあるし」 いつもと変わらずぶっきらぼうに言ってぐい、とそれを差し出す。