「ハルが、自分から先輩クラスに行くなんて珍しいね。」
なんて、私の横で友人の凛がからかってきた。


私の視線の先には、

「遥〜、今度私とデートしてよ。」
とまぁ、女の子からデートの誘いを受けている遥がいた。


今更気付いたけど、彼はかなりモテる。
ひとつは、やっぱりイケメンだからだと思う。
プラス、親しみ易い性格で、女の子に優しい。

そんなんだから、周りの子達が放っておくわけがない。


聞いた話じゃ、ほぼ毎日女の子との予定が詰まっていて、彼女いない歴ゼロ日。


「あっ、遥先輩じゃん。カッコイイね、相変わらず。」
凛ですら知ってるくらいに有名人なのか。


きっと今の人とも軽くOKしてデートに行くんだろうなぁ。

って、私は何やってんの!?


「ハル?もう戻るの?」

なにしに来たのなんて聞かないで、友よ。

私にもよくわからないんだよ!







昼休み。
凛とファッション雑誌を読んでたら、廊下がやけに騒がしい。

何だか、驚きよりも、女子の黄色い歓声が聞こえる。


突然、廊下から声がした。私の名前を呼んでいる。

「そこの、雑誌を読んでいるお嬢さん。確か、朝比奈春夜(とうや)って名前だよな?」

この声。

「如月遥・・・先輩。」

彼は笑って、私を手招きしてまだ呼んでいる。

「用があるなら、自分でここまで来て下さい。」
そしたら、普通もう少しの渋ったりするもんじゃない?
なのに、遥(先輩)ときたら、
「そうだな。わかった。」
そう言って、ホントに私の真横まで歩いてきた。


な、なんで!?
私、なんかした?


「朝比奈春夜さん。」
「は、はぃ。」
思わず、びくついて、返事の最後がしりつぼみになってしまった。



そして。
忘れもしない、この瞬間。


彼は確かにこう言った。



「好きだ。俺の彼女になって。」