幼なじみをやめるまで

大きな手にひかれて、さっきまでくぐり抜けられなかった改札を抜ける。


家までの道は、何も話さなかった。
何時間か前に同じ道を千裕と通った時の事を思い出す。

まさか、帰り道にこんな状況になっているなんて思ってもいなかった。



分かっていても、今の状況を変えられる方法なんてないんだけど。







「俺んち来る?まだお袋いないし。お前ん家だとおばさんいるだろ?」


「うん」



千裕が、私の顔を心配してくれているんだとすぐに分かった。